大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)1343 判決

主 文

本件上告を棄却する

理 由

弁護人小野謙三の上告趣意第一点について。

原判決は、論旨摘録のように、被告人がA外二七名に対し自転車タイヤ同チユー

ブ各二二本を原判示のような統制額を超過する代金で「卸販売したものである」と

認定しているのであつて、統制額を超えて価格等を受領した事実を認定しているも

のではない。してみれば、原判決は、被告人が物価統制令三条一項本文の「価格等

ハ其ノ統制額ヲ超エテ之ヲ契約」することを得ずとの規定に違反した趣旨を判示し

たものであること明瞭である。従つてまた、本件犯罪の成否には所論のような現金

決済の有無は無関係なのであるから所論始末書の一部にこの点に関する記載がなく

ても証拠となり得ること言うまでもない。されば、原判決には所論のような刑訴法

の違反もなく、憲法違反の前提となる事実も存しないのであるから論旨は理由がな

い。

同第二点について。

原審がその判決主文において没収を言渡した三万七千九百五十円は、被告人がB

工業株式会社から統制額を超えて買受けた自転車タイヤ同チユーブ各百本の換価金

であること並びに右タイヤ、チユーブ各百本は被告人が原判示第一の本件犯行によ

つて得たものであることはいずれも記録上明らかである。そして、右タイヤ、チユ

ーブは押収後換価されたものであることも記録上明らかなので、原審が前記換価金

を没収したことはもとより正当であつて原判決には所論のような違法はない。

同第三点について。

所論は、原審の量刑不当を主張するに過ぎず適法な上告理由ではないので採用す

ることができない。

- 1 -

よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員の

一致した意見により主文のとおり判決する。

検察官 石田富平関与

昭和二六年九月二五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!